さすけなぶる

災害の教訓から学ぶ!新しい防災教育ツール

さすけなぶるシンボルマーク

福島大学地域未来デザインセンターでは、東日本大震災で起きた様々な実例から教訓を学んでいく、新しい避難所防災教育ツールの開発プロジェクトを推進しています。
『さすけなぶる』は、東日本大震災・ふくしまの教訓を避難所運営で実際に起きた問題を解決していきながら学ぶワークショップ型防災教育ツールです。
すべての問題に「正解」はありません。災害・地域・人、さまざまな要因によって変わっていく状況に臨機応変に対応していかなければならない災害時の考え方をぜひ身に着けてください。


モデルになった避難所「ビッグパレットふくしま」

ビッグパレットふくしまは、東日本大震災時に福島県最大級の避難所となった施設です。原発事故避難者 約3,000名が数ヶ月に渡って避難所生活を送っりました。長期化する避難生活で発生した、さまざまな「正解のない問題」をスタッフたちは、人生経験を生かして考え抜き、なんとか乗り越えました。その事例をもとに考えられた教材が、この「さすけなぶる」です。
東日本大震災において、福島県では多くの大規模避難所が生まれました。
想定外の広域災害のため運営マニュアルの活用が困難な状況で、避難所運営スタッフは、これまでの人生経験をフル活用して、避難所がいろんな被災者にとって安心で自立を支える場となるよう、試行錯誤を繰り返しながら日々の問題に対応してきました。
さすけなぶる は、東日本大震災における福島県内の避難所運営の教訓を生かして、避難所運営に関わる可能性のあるみなさんに、広域災害時に避難所で起こる「リアル」を理解し、想定外の事態に対しても、みなさんの人生経験を生かして、被災者の幸せを最優先とした柔軟な対応の視点を身につけて頂くことを目的とした意思決定シミュレーションゲームです。
さすけなぶる で紹介されるエピソードは、福島県内の避難所などで実際に起こった事例です。本ゲームを通じて、福島県の貴重な教訓が首都直下型地震や南海トラフ地震の想定地域など多くの地域で生かされれば幸いです。

「さすけなぶる」の語源

さすけなぶるの語源

「さすけなぶる」は、福島県の方言である「さすけねぇ」と持続可能であるさまを意味する「sustainable(サスティナブル)」を組み合わせた造語です。

「さすけねぇ」は、福島弁で「心配ない・問題ない」という意味。心配がない状態を持続させることを意味しています。

大切な考え方 「さすけなぶるの5つのキー」

忘れてはいけない大切な5 つのキー。
避難所では、「全体」を見ることも大切ですが、「個」を大切にしなければなりません。
個々の問題を、この5つのキーをもとに解決していってください。

さりげなく 被災者の声に耳を傾け、生活環境の改善を進めよう。
(声には「大きな声」と「小さな声」があることを忘れずに)
すばやく 被災者の生活(暮らし)実態や課題をしっかり把握しよう。
(時間経過によるニーズ変化があることを忘れずに)
けむたがらずに 被災者同士、被災者と支援者等が交流できる場をつくろう。
(主体は被災者であることを忘れずに)
ないものねだりはやめて 地域の専門機関や団体等のネットワークを活用し、課題解決を進めよう。
(「できない」ではなく、「どうすればできるか」の視点を!)
ふる(ぶる)さとのような 被災者の参画による自治的な組織をつくろう。
(避難生活は、生活再建の第一歩であること忘れずに)

ここでは被災者という言葉を使用しますが、被災者は、あくまでも「人」です。人には、それぞれに暮らしがあり、災害前までは、普通の暮らしをしていました。
そこには、過去から現在までのそれぞれ時間、それぞれのキャラクター、それから、それぞれのネットワークがあったはずです。
決して被災者は「かわいそうな」人ではありません。ましてや一方的に助ける対象でもありません。ゲームに取り組む際には「人」という視点を忘れないことが大切です。